診療支援
治療

悪性関節リウマチ
Rheumatoid vasculitis
藤井 隆夫
(和歌山県立医科大学 教授(リウマチ・膠原病科学))

【疾患概念】

 関節リウマチ(RA)に血管炎をはじめとした関節外症状を認め,難治性もしくは重症な臨床病態を伴う場合に,「悪性関節リウマチ」という.海外ではrheumatoid vasculitisあるいはRA with vasculitisと記載され,この病名はわが国にしか存在しない.RAの関節病変が進行して徐々に身体機能が重症化する症例を指すのではなく,急速に進行する内臓病変を有する生命予後不良のRAのことであり,厚生労働省の診断基準(表6-6)を満たせば指定難病として医療費補助を受けることができる.

【病態】

 RAの関節障害に加え,血管炎による皮膚症状(紫斑や皮膚潰瘍など),心血管病変(心筋炎や冠動脈炎など),眼症状(上強膜炎など),神経障害(多発性単神経炎など)などが特徴である.全身血管炎型ではリウマトイド因子(RF)高値,血清補体価低値,免疫複合体高値となることが多く,末梢動脈炎型では皮膚の潰瘍,梗塞または四肢先端の壊死や壊疽を特徴とする.IgG型のRFがしばしば認められることも重要である.


問診で聞くべきこと

 既存のRA症状に加え,上記のような血管炎症状を確認する.他の熱性疾患がないにもかかわらず,38℃以上の発熱を認める場合には,悪性関節リウマチを疑う必要がある.


診断のポイント

 上記のような関節外症状を前面に認めるRAの場合には,悪性関節リウマチを疑う.可能な限り皮膚生検を行い,血管炎を組織学的に確認する.しかし血管炎の組織所見が得られなくとも,厚生労働省の悪性関節リウマチ診断基準(表6-6)を満たすことがある.


治療方針

 RA治療に加え,関節外症状に対しては副腎皮質ステロイドが用いられる.その用量は障害臓器によるが,多発性単神経炎や皮膚壊疽,重症の間質性肺炎では大量投与が必要で,病態によりシクロホスファミドなどの免疫抑制薬が併用されることもある.


合併症と予後

 呼吸

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?