【疾患概念】
関節リウマチ(RA)に血管炎をはじめとした関節外症状を認め,難治性もしくは重症な臨床病態を伴う場合に,「悪性関節リウマチ」という.海外ではrheumatoid vasculitisあるいはRA with vasculitisと記載され,この病名はわが国にしか存在しない.RAの関節病変が進行して徐々に身体機能が重症化する症例を指すのではなく,急速に進行する内臓病変を有する生命予後不良のRAのことであり,厚生労働省の診断基準(表6-6図)を満たせば指定難病として医療費補助を受けることができる.
【病態】
RAの関節障害に加え,血管炎による皮膚症状(紫斑や皮膚潰瘍など),心血管病変(心筋炎や冠動脈炎など),眼症状(上強膜炎など),神経障害(多発性単神経炎など)などが特徴である.全身血管炎型ではリウマトイド因子(RF)高値,血清補体価低値,免疫複合体高値となることが多く,末梢動脈炎型で