【疾患概念および病型分類】
従来,一般にピロリン酸カルシウム二水和物(calcium pyrophosphate dihydrate;CPP)による結晶沈着症(calcium pyrophosphate dihydrate crystal deposition disease;CPPD)自体は,“偽痛風”(pseudogout)とよばれてきた.これは1961年にMcCartyらが,ウリカーゼで溶けない結晶による急性の痛風様関節炎を「偽痛風」として最初に報告したことによる.しかし以後CPPDはCPP結晶が関節軟骨や周囲組織に沈着し,単純X線像上は関節軟骨石灰化(chondrocalcinosis;CC)を呈し,臨床的には急性・慢性の結晶誘発性関節炎や関節破壊など多様な臨床像をきたす疾患であることがわかってきた.そのため2011年に欧州リウマチ学会がCPP結晶によって生じるさまざまな病態を総称してCPP結晶沈着症すなわちCPPDと定義し,いわゆる“偽痛風”はCPP結晶による急性関節炎(acute CPP crystal arthritis)のみを指し,ほかに無症候性CPP結晶沈着症(asymptomatic CPPD,asymptomatic chondrocalcinosis),CPP結晶沈着症を伴う変形性関節症(pseudo-OA,CPPD co-occur with OA),慢性CPP結晶性関節炎(pseudo-RA,chronic CPP crystal arthritis),そのほかに多くはないが脊椎病変(crowned dens syndromeなど),神経障害性(シャルコー様)関節症と分類・定義された.
CPPDは大多数は加齢に伴う特発性であるが,一部の症例は家族性であり,通常は常染色体優性遺伝で40歳までに結晶沈着に伴う関節炎を発症する.60歳未満の症候性CPP
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