【疾患概念】
糖尿病性関節症は,糖尿病に合併して発症する関節症の総称であり,神経病性関節症の代表である.糖尿病の合併症である神経障害,末梢循環障害,感染など多様な病態が関節症の病態を複雑化し,根治治療が困難になることがある.特に足関節やその末梢の関節で関節症を発症しやすく,糖尿病足(diabetic foot)ともよばれる.糖尿病性関節症は,体重の負荷を受ける足部の関節に多い.糖尿病性自律神経障害に由来する動静脈シャントによる骨関節の栄養障害や骨破壊,さらに感覚神経障害による外傷や脱臼変形の放置が原因と考えられているが,依然として不明な点が多い.
【頻度】
神経病性関節症と同様に標準的な診断方法やX線画像評価が確立されておらず,不明な点もあるが,10年以上の罹病期間をもつ糖尿病患者の0.15~2.5%が関節症を有し,その30%が両側性に発症するという報告がある.さらに外傷歴のある糖尿病患者の