診療支援
治療

Stickler症候群
Stickler syndrome
鬼頭 浩史
(あいち小児保健医療総合センター 副センター長〔愛知県大府市〕)

【疾患概念】

 Stickler症候群は進行性近視,網膜剥離,早発性の変形性関節症などを呈する疾患で,2型コラーゲン遺伝子(COL2A1)あるいは11型コラーゲン遺伝子(COL11A1COL11A2)の異常により発症し,それぞれ1型,2型,3型に分類される.1型は眼症状が,2型と3型は難聴の程度が強く,3型は眼症状を伴わない.顔貌異常(顔面中央部低形成,小下顎,下顎後退,眼間開離など)は特徴的で,Pierre-Robin症候群の臨床像を示すもののうち1/3は本症であるといわれている.

【臨床症状・X線所見】

 幼児期には低身長を示すが年齢とともにキャッチアップし,年長児では四肢が長く,関節部が膨隆したMarfan様体型を示す.幼児期には関節弛緩性を認めるが,年長児や成人では関節拘縮が目立つようになり,早発性の変形性関節症を発症する.単純X線所見としては,長管骨では骨幹端部の幅が広いのに対し,骨端は扁平である(図7-13).脊椎は軽度の扁平椎を呈する.


診断のポイント

 低身長や骨端異形成症をはじめとした単純X線上の異常所見は,SEDCやKniest骨異形成症より程度が軽いが,眼科的合併症(高度近視,網膜剥離,硝子体変性,若年性白内障など)や難聴の頻度は高い.耳・脊椎・巨大骨端異形成症(otospondylomegaepiphyseal dysplasia;OSMED)はCOL11A2の遺伝子変異により発症し,巨大骨頭を伴った外反股,骨端部および骨幹端部の拡大による関節の膨隆などStickler症候群と類似した表現型を呈するが,骨格変化はOSMEDのほうがより顕著である.


治療方針

 成長終了時にできるだけ良好な下肢アライメントを獲得できるよう,小児期に8プレートによる片側骨端線抑制術を行う.成人では下肢荷重関節における変形性関節症に対する治療が必要となる.多様な眼症状や難聴が起こりう

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