【疾患概念】
原因遺伝子が多様なため表現型も多様である.軟骨基質の微量蛋白質の合成障害により,四肢大関節を中心に管状骨骨端部の異形成が多発する骨系統疾患である.脊椎の変化はない,または軽度である.
【頻度】
少なくとも1万人に1人の頻度といわれている.
【病型,分類】
2019年版の骨系統疾患国際分類では,主にグループ10:多発性骨端異形成症および偽性軟骨無形成症グループに分類され,同グループ内だけで5つの遺伝子が報告されている.本疾患は原因遺伝子により表現型が異なる.わが国を含む東アジアでは原因遺伝子としてMATN3が最も多く,次いでCOMPが多い.
【臨床症状】
主症状は四肢大関節の変形,疼痛,関節可動域制限である.小児期には診断がつかず,成人後に早発性の変形性関節症として診断がつくこともよくある.
問診で聞くべきこと
家族歴,大関節の疼痛の有無を聴取する.
必要な検査とその所見
単純X線像で管状骨骨端部の異形成を生じるが,原因遺伝子によりそのX線像は特徴がある(図7-16図).COMPの場合,大腿骨近位骨端部は4~9歳では球形で小さいのが特徴であるが,思春期には扁平化し早期に変形性股関節症に至る.一方,MATN3の場合は小児期に大腿骨近位骨端部は扁平化しているが,思春期にはほぼ正常な骨頭形態となる.
鑑別診断で想起すべき疾患
偽性軟骨無形成症,脊椎骨端異形成症,甲状腺機能低下症,両側Perthes病などがある.
診断のポイント
小児期では大腿骨近位や膝周囲の骨端異形成を示す単純X線所見が決め手となる.
治療方針
小児期に最も手術治療機会が多いのは,膝関節の角状変形(主に外反膝)である.成人での治療は,変形性関節症の治療に準ずる.
予後
下肢の変形性関節症に対する治療を行わないと,早期に歩行能力は低下する.原因遺伝子がCOMPの例はMATN3の例より身長が低く,股関節機能障害や歩行障害を
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