診療支援
治療

偽性軟骨無形成症
Pseudoachondroplasia
下村 哲史
(東京都立小児総合医療センター 前部長〔東京都府中市〕)

【疾患概念】

 軟骨に特異的な軟骨オリゴマー基質蛋白質(COMP)の遺伝子変異により発症する骨系統疾患.四肢短縮型低身長を呈し,下肢の変形,関節弛緩などを特徴とする.四肢の短縮は大腿,上腕など近位肢節に強く,軟骨無形成症類似の外観を呈する.骨系統以外の合併症は存在しない.

【頻度】

 100万人あたり4人とする報告があるが,正確な頻度は不明である.遺伝形式は常染色体優性遺伝であるが,突然変異として発症することが多い.

【臨床症状または病態】

 出生時には身長を含めて明らかな異常を認めない.1~2歳以降に近位肢節短縮型の低身長が急激に進み,最終身長は軽症例でも-3SD以下となる.運動に関しては,始歩の遅れ,あひる様歩行などを認めるが,知的発達は問題なく,顔貌の異常も認めない.

 関節弛緩性が強いことも加わって,X脚ないしはO脚が小児期に急速に悪化し,関節面の変形から早期に関節症に至っていく.脊椎では,腰椎前弯が強く,側弯,環軸関節亜脱臼などを伴うことがある.


必要な検査とその所見

 単純X線像で管状骨の短縮と骨幹端の拡大および不整像を認める(図7-17).骨端核は小さく不整な形状を呈する.幼小児期の椎体は汎発性に扁平で,側面像で前方に舌状突出像を認める.

 血液検査で血中COMPの低下を認める.


治療方針

 小児期に急速に内外反膝変形が悪化していく.このときに,可及的に荷重軸を補正しないと,骨端部の骨脆弱性により関節面の変形が増悪し,関節症へと至っていく.したがって,早期から装具による下肢アライメントの維持を心がけ,増悪傾向にある場合には矯正骨切りを積極的に行い,悪化を防いでいく必要がある.なお,軟骨無形成症などとは異なり上下の関節が不安定なため,骨延長を含む関節内圧を上げるような手術は行うべきではない.


患者説明のポイント

 軟骨に含まれるCOMPと呼ばれる蛋白質の代謝異常で,骨の伸びが制限され低

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