【疾患概念】
McKusick型軟骨・毛髪低形成症は,骨幹端異形成症の一型として知られている.原因遺伝子はRNase MRP複合体のRNAサブユニットをコードするRMRPである.遺伝形式は常染色体劣性遺伝をとり,国際分類ではmetaphyseal dysplasiasに属する.
【臨床症状】
低身長,胸郭変形,側弯,疎な毛髪,免疫異常,短指がみられ,Hirschsprung病,白血病や悪性腫瘍を合併することが多い.免疫不全や貧血を伴うこともあり,早期診断によってこれらの症状の治療を行うことができる.ほとんどの症例で内反膝がみられ,肘の伸展障害もある.知能は正常である.
必要な検査とその所見
単純X線で脊椎,全下肢,手を撮影することで特徴的な所見がみられる(図7-19図).脊椎は腰椎の前弯が強く,成長に伴い側弯症が進行することがある.下肢では骨幹端部の変形,内反膝がみられ,手指は太くて短いのが特徴である.
鑑別診断で想起すべき疾患
骨幹端異形成症はほかに,Jansen型,Schmid型,Spahr型などがあり,鑑別が必要である.鑑別が難しい場合は遺伝子検査を行う.
診断のポイント
臨床症状と単純X線所見から,ほとんどの症例では診断がつく.必要に応じて遺伝子検査を行う.
治療方針
基本的には症状に応じて対応する.小児期にはO脚に対し,骨端線抑制術を用いたguided growthを行うことで改善が期待できる.低身長を呈する骨系統疾患に脚延長を行うことがあるが,本疾患は易感染性であるため,行わないほうがよい.全身的な管理も含めて,小児期より小児科や内科と連携してみていかなければならない.
患者説明のポイント
診断が確定した時点で,低身長,内反膝など筋骨格系の特徴とともに,貧血や免疫不全などの合併症を伴うことを説明する.特に水痘や種痘を発症すると,重症化することが知られているため注意を促す.
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