診療支援
治療

ムコ多糖症
Mucopolysaccharidoses
小須賀 基通
(国立成育医療研究センター 診療部長(遺伝診療科)〔東京都世田谷区〕)

【疾患概念】

 細胞内小器官の1つであるリソソームには50種類以上の加水分解酵素が存在し,細胞内のさまざまな物質を分解して細胞の恒常性を維持する働きがある.ムコ多糖症は,リソソーム内でムコ多糖の分解にかかわる酵素の異常を原因とする,先天代謝異常症である.ムコ多糖はアミノ糖とウロン酸から構成される多糖体であり,デルマタン硫酸(DS),ヘパラン硫酸(HS),ケラタン硫酸(KS),コンドロイチン硫酸(CS),ヒアルロン酸などに分類される.これらのムコ多糖は生体内では全臓器に広く分布しており,特に結合組織,軟骨,神経組織などに多く存在する.ムコ多糖症ではこれらの組織に未分解のムコ多糖が過剰蓄積することにより臓器障害が引き起こされる.DSの過剰蓄積は,骨・関節・心弁膜症状,HSは中枢神経症状,KSは軟骨異常と関連する傾向がみられる.

【病態】

 ムコ多糖症は欠損酵素と代謝経路により7型に分類されており,そ

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