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労災補償の手続き
Procedure of the compensation in the workmen's accident
田中 清和
(日本赤十字社医療センター 副部長(リハビリテーション科)〔東京都渋谷区〕)

 労働者が業務・通勤によって被った負傷や疾病,死亡に対して補償する制度が労災保険である.労災保険給付と社会復帰促進等事業とがある.


1.労災保険給付

 労災保険給付の種類は,業務災害の場合に(補償)の文字を加え,①療養(補償)給付,②休業(補償)給付,③傷病(補償)年金,④障害(補償)給付,⑤その他〔介護(補償)給付や遺族(補償)給付など〕がある.保険給付を受けるためには,被災労働者やその遺族などが所定の保険給付請求書を所属事業所の所在地を管轄する労働基準監督署長に提出しなければならない(一部は病院・診療所や薬局などを経て).


2.社会復帰促進等事業

 被災労働者の円滑な社会復帰の促進などを目的とした事業であり,①義肢などの補装具購入(修理)に要した費用を支給する制度,②アフターケア制度などがある.

【1】義肢等補装具費支給制度

 一定の身体欠損障害または機能障害が残った人に対して,義肢や車椅子などの補装具の購入(支給)に要した費用を支給する制度である.支給種目を表10-4に示す.申請は被災労働者が「義肢等補装具購入・修理費用支給申請書」を都道府県労働局長に提出する.義肢は1障害部位につき2本の支給が基本である.筋電電動義手(筋電義手)の場合は1本の支給であり,手関節以上の片側上肢切断者に対しては装着訓練や試用装着期間における指導,適合判定実施医療機関において訓練を修了し,継続して使用することが可能な人が対象となる.

【2】アフターケア

 被災した労働者の労働能力の維持・回復をはかり,円滑な社会生活復帰を援助するもので,傷病が「治癒」(症状固定)後においても後遺症状が変化したり,後遺障害に付随する疾病を発症させるおそれがあるため予防その他保健上の措置として診察,保健指導,保健のための薬剤の支給などを実施している制度である.被災労働者からの申請に基づき都道府県労働局長が交付する「健康管理手

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