【人工肩関節手術の概念】
人工肩関節置換術は,保存療法が功を奏さない変形性肩関節症に施行される.この人工肩関節には,腱板が温存されている肩関節に施行される解剖学的人工肩関節と,修復不能な広範囲腱板断裂や腱板断裂性関節症に施行されるリバース型人工肩関節の2種類がある.前者は腱板の機能によって人工関節の求心性が保たれるため非拘束型とよばれ,後者は腱板の代わりに,人工関節の回転中心を下方に下げることで生じる三角筋の過緊張状態によって,上腕骨ソケットを肩甲骨側骨頭に密着させて関節安定性を得るようになっている.回転中心が一定で,関節安定性に三角筋の常時の緊張を要するために,半拘束型とよばれる.
【肩関節症の病態】
(1)変形性肩関節症
骨棘形成,骨硬化像,関節変形という増殖性変化と破壊性変化が混在している.誘因なく発症してくる一次性のものと,骨折などの外傷後に発症してくる二次性のものがある.後者は外傷に