【疾患概念】
肘関節は上腕骨,尺骨,橈骨の3つの骨から構成されるが,その基本構造は蝶番構造をとる腕尺関節の内外両側に側副靱帯があって,安定性の要となっている.内側側副靱帯(medial collateral ligament;MCL)は,元来10~15°の外反を呈する肘関節において重要な安定化機構であり,特にその前方成分である前斜走靱帯(anterior oblique ligament;AOL)が肘の外反ストレスに対して最も重要とされ,これを損傷すると外反不安定性による機能障害が強い.外側側副靱帯(lateral collateral ligament;LCL)は,腕尺関節の肘関節の外側で輪状靱帯(annular ligament;AL)とともに橈骨を包み支えるような複合体(LCL complex)を形成し,内反だけでなく軸圧や回旋方向のストレスに対して抗する役割を担う.なかでも外側尺側