【疾患概念】
指腹部の化膿性炎症である.指腹部は末節骨と皮膚の間に丈夫な線維性の隔壁があり,多数のコンパートメントを形成している.コンパートメント内に化膿性炎症が生じると膿瘍が貯留し,内圧が上昇して激しい疼痛が生じる.深部に炎症が波及すると末節骨骨髄炎,化膿性屈筋腱腱鞘滑膜炎へと感染が拡大する.
【臨床症状または病態】
指腹部に感染による局所の発赤,腫脹,疼痛が生じる.コンパートメント内に膿瘍が貯留して内圧が上昇し激痛となる.
問診で聞くべきこと
刺し傷が原因となることが多く,手指外傷の有無,刺創の既往を問診する.
糖尿病の合併,ステロイド薬や免疫抑制薬を服用しているかどうかも聞いておく.
必要な検査とその所見
単純X線写真像で末節骨の融解・破壊像とガス像の有無,超音波検査やMRI検査で膿瘍の有無と膿瘍の局在部位を同定する.炎症反応をみるため血液検査,切開排膿時には培養検査を行う.