診療支援
治療

石灰性(化)腱炎
Tendinitis calcarea
佐野 和史
(順天堂大学 先任准教授(形成外科学))

【疾患概念】

 手関節や指の腱および靱帯付着部に塩基性リン酸カルシウム(BCP)結晶が沈着し,急性炎症を引き起こす.

【病態】

 中年期でやや女性に多く,急性の局所疼痛,腫脹,発赤を認める.固有指部の屈筋腱内に発症し弾発現象をきたすこともある.


問診で聞くべきこと

 感染性疾患や裂離骨折との鑑別のうえで,先行する局所外傷歴の有無を聴取する.


必要な検査

 単純X線撮影で石灰沈着を確認する.手関節周辺の石灰沈着では正側2方向に加えて斜位撮影が局在の確認に有益な場合もある.手術加療で沈着した液状石灰を摘出した場合は,偏光顕微鏡によりピロリン酸カルシウム(calcium pyrophosphate dihydrate;CPPD)結晶とは異なり,複屈折性を示さない結晶が確認できる.


診断のポイント

 発症前に打撲など軽微な外傷を認める場合があるが,受傷から遅れて痛みや腫脹が急激に顕在化したり,外傷程度に比較し症状が

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