診療支援
治療

[太鼓]ばち指
Digital clubbing
福本 恵三
(埼玉慈恵病院埼玉手外科マイクロサージャリー研究所 所長〔埼玉県熊谷市〕)

【疾患概念】

 指(趾)の末節部が肥大し,後爪郭が隆起して爪甲の弯曲が増大した状態.先端が太く,太鼓のばち状であることから名付けられた.Hippocrates指(爪)とも呼ばれる.肺がんなど重大な疾患の部分症であることが多い.

【臨床症状または病態】

 指末節の肥大ともに後爪郭が隆起し,爪甲と後爪郭が形成する角度(Lovibond角:通常160°)が増加し180°となる.また,爪甲は鳥のくちばし状(parrot's beak)変形をきたす.Grade 1:爪床が柔らかく波動,Grade 2:爪甲と後爪郭との角度が増加,Grade 3:爪甲の凸状が際立つ,Grade 4:指尖のばち状変形,Grade 5:爪甲と周囲の皮膚のてかりと縦線状形成,の順に進行する.指,爪甲変形以外に痛みなどの症状はない.さまざまな疾患でばち指が起きるが,最も多いのは肺疾患で,なかでも肺がんが多い.その他チアノーゼを伴う先

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?