1.整形外科を受診しうる神経内科的脊髄疾患
整形外科を受診しうる神経内科的脊髄疾患の代表的な症状は,四肢のしびれである.この「しびれ」とは多義語であり,必ずしも感覚障害を示しているとは限らず,放散痛を示している場合もあれば,時には運動障害を「しびれ」と表現する患者も多く,目の前の患者が訴える「しびれ」が何を意味しているのかを捉えることが,診察のはじめの一歩となる.
このような「しびれ」を訴え,整形外科を受診しうる代表的な神経内科的脊髄疾患として,多発性硬化症,急性横断性脊髄炎,筋萎縮性側索硬化症,遺伝性痙性対麻痺,脊髄梗塞などが挙げられる.これらの疾患では,画像上変性所見を併せて持つ場合も多く,鑑別が困難な場合も少なくない.
整形外科医の診療において重要なことは,常にこれらの疾患の可能性を念頭に置きながら神経診察を行うことである.判断に迷うときは,神経内科医へのコンサルテーションを優先すべ