【疾患概念】
脊髄出血性疾患は,部位別に,硬膜外出血,硬膜下出血,くも膜下出血,および脊髄内出血に分類される.
【病型・分類】
(1)硬膜外出血
小児を含む全年齢に認められ,好発部位は上位胸椎と下位頚椎である.外傷,凝固異常などが原因となることもあるが,多くは原因不明の特発性である.怒責などが誘因となり,出血高位に一致した背部痛あるいは腰部の激痛に始まり,短時間で脊髄麻痺が出現することが多い.ときに,前兆となる小発作があり,その後に大発作が出現することもある.
(2)硬膜下出血
まれであるが,外傷,凝固異常,腰椎穿刺や硬膜外麻酔による医原性の症例,および特発性がある.
(3)くも膜下出血
脊髄硬膜動静脈瘻,脊髄辺縁部動静脈瘻が原因で,突発性の発症形態になる.脊髄腫瘍によることもある.急性の腰背部痛,根性疼痛で発症する.脊柱可動域制限のほかに,髄膜刺激症状としての項部硬直,Kernig徴候を認めるこ