診療支援
治療

痙性斜頚
Spasmodic torticollis
中村 雄作
(りんくう総合医療センター脳神経内科 主任部長〔大阪府泉佐野市〕)

【疾患概念】

 痙性斜頚は,頚部の局所性ジストニアで,頚部筋の不随意な常同的収縮による頚部の運動や頭位の異常である.頭部の偏倚は一定のパターンがあり,また特定動作で症状が発現する動作特異性がみられる.不随意に一定方向に頭部が偏倚していくこともある.起床時の症状改善の有無や手などを軽く顎に添えるだけで症状が改善する感覚トリックがみられることがある.

【臨床症状と病態】

 異常姿勢は,回旋,側屈,前後屈,肩の挙上,側弯があり,複数の組み合わせで出現する.発症後数か月~数年は進行するが,その後は安定することが多い.ジストニアの特徴は,①常同性,②動作特異性,③感覚トリック,④共収縮,⑤オーバーフロー現象,⑥早朝の症状改善が挙げられる.機序は大脳基底核を中心とする運動ループの機能異常が考えられており,皮質運動野内抑制の障害,周辺抑制の障害,感覚運動連関の異常,神経可塑性の異常や小脳機能異常などが考えられ

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