【疾患概念・病態】
滑膜に発生した炎症が組織を破壊することが,関節リウマチ(rheumatoid arthritis;RA)の病態の基本であるため,頚椎においても滑膜組織が存在する椎間関節や歯突起(環軸関節)周辺に病変が発生しやすい.滑膜組織が存在しない組織においても慢性的な炎症が波及し,椎体周囲に存在する靱帯の弛緩や断裂,椎体終板や椎間板の炎症,椎体内の骨脆弱化が生じる.結果として頚椎の骨性支持機構が破綻し,環軸関節亜脱臼,環軸関節垂直性亜脱臼,軸椎下亜脱臼(中下位頚椎のすべり)や椎体圧潰,椎体癒合など種々の頚椎変形が複合的に発生する(図19-20図).また環軸関節から発生した炎症性肉芽組織が脊髄を圧迫する場合もある〔歯突起後方腫瘤(図19-21図)〕.
生物製剤の使用によってRA自体のコントロールが良好になり,頚椎病変の発生頻度は著しく低下している.しかしながら,未治療例や生物製剤を使