【疾患概念】
椎間関節近傍の嚢腫性病変はガングリオン嚢腫や滑膜嚢腫と報告されていたが,現在は総称して椎間関節嚢腫と呼ばれる.脊柱管内で硬膜(馬尾)や神経根を後側方から圧迫することで腰下肢痛や麻痺を惹き起こす.発生機序は,関節症性変化をきたした椎間関節の動きによって黄色靱帯関節包部が破綻し,靱帯内の亀裂から嚢腫が発生,膠原線維化とフィブリン様変性により増大すると考えられている.
【頻度】
症候性腰椎病変における画像診断では0.5~2.3%に,各種脊椎疾患に対する除圧術の1.6%に滑膜嚢腫を認めたと報告されている.また,脊柱管内滑膜嚢腫の96.2%が腰椎発生例であったとされる.
【病型・分類】
発生椎間高位に一致した神経障害をきたすが,まれに椎間孔から椎間孔外に局在して通常より1椎間上位の神経根症状を起こすことがある.腰椎手術後に嚢腫が生じることがあり,除圧術後はその手術椎間に,固定術後はその上位