【疾患概念】
腰椎不安定症とは,椎間可動域が異常に大きい状態で症状を伴うものをいう.不安定性の方向には,矢状面(前後),冠状面(左右),横断面(回旋)があるが,通常は矢状面で評価する.腰椎不安定性の原因として,外傷,感染,腫瘍などがあるが,ここでは変性疾患によるものに限定して述べる.
【病態】
加齢とともに,椎間板に含まれる水分とプロテオグリカンが減少することで,椎間板腔が狭くなる.それに伴い,脊椎周囲の靱帯(前縦靱帯,後縦靱帯,黄色靱帯など)が緩んでくると,椎間安定性が失われて不安定になる.
【臨床症状】
前屈位から元に戻そうとしたときに腰痛に襲われたり(instability catch),仰臥位で両下肢を伸展させたまま挙上を保持するよう指示すると,腰痛のために突然下肢を落としたり(painful catch),動作時に急激な腰痛発症に対する不安感を訴えたりする(apprehension)