診療支援
治療

外反母趾
Hallux valgus
佐本 憲宏
(国保中央病院 副院長〔奈良県磯城郡〕)

【疾患概念】

 母趾が中足趾節関節(metatarsophalangeal;MTP関節)で外反し,第1中足骨の内反と母趾列の回内からなり,母趾基節骨は外反,母趾種子骨は外側へ偏位し,亜脱臼の状態になる.

【臨床症状】

(1)病態と病因

 病因は先天性の要因および環境的な要因からなる.これらは先天性や遺伝,母趾の形態などの内的要因と靴の種類や様式の生活様式などの外的要因からなる.性差は9:1で女性に多く,第1中足骨が長いことや扁平足,エジプト型の足趾などは内的要因として重要である.

(2)分類

 足部荷重時単純X線写真背底像で,外反母趾角(hallux vulgus angle;HVA)が,20~30°未満が軽度,30~40°未満が中等度,40°以上を重度としている.

 重度変形では二次的な変形が合併することが多い.ハンマー趾や第2趾および第3趾MTP関節亜脱臼や脱臼,内反小趾および陥入爪などがある.

(3)症状

 軽度変形で初期の段階では,母趾内側部(突出部)が靴に当たって痛い,また徐々に変形が増してきていることなどを訴える.中等度変形になってくると母趾列の機能不全に陥り,足部のWindlass現象(巻き上げ現象)機能が消失して,第2趾および第3趾への負荷が増加して,足底部の疼痛(中足部痛)が発現して胼胝が形成されることが多い.さらに重度変形に進行すると履く靴が制限されるため,母趾内側の疼痛は軽減する.一方,中足部痛とともにLisfranc関節痛やハンマー趾変形など,さまざまな二次的な変形や関節症変化が出てくる.


問診で聞くこと

 変形と疼痛の出現時期,これらの増悪時期などを詳細に聞いておく.小学生時からという場合も比較的多い.次に現在,最も困っている症状は何か,その他疼痛の部位(母趾,足底,中足部,Lisfranc関節部,ハンマー趾変形背側など),胼胝形成の有無などについて聴取する.仕事と仕事

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