1.中足骨骨折
【疾患概念】
足根骨と趾節骨の間にある第1~5中足骨に生じた骨折.骨折部位により,骨頭骨折,頚部骨折,骨幹部骨折,近位部骨折に分類される.第5中足骨の近位部骨折はさらに細かく分類される.
【病態】
多くは直達あるいは介達外力が加わることによる急性の外傷によって生じる.近位部の骨折は,しばしばLisfranc関節損傷や脱臼骨折の一部として生じる.第2,3中足骨の骨幹部は疲労骨折の好発部位である.
第5中足骨の近位部はZoneⅠ~Ⅲに分かれていて(図28-22図),ZoneⅠは腱や腱膜の裂離骨折(いわゆる下駄履き骨折)の好発部位,ZoneⅢは疲労骨折の好発部位として知られている.ZoneⅡに生じる急性あるいは疲労骨折はJones骨折と言われ,骨癒合が得られにくい難治性の骨折として有名である.
【臨床症状】
骨折部に腫脹,変形を認め,安静時痛,歩行時痛あるいは歩行不能を訴える.軟部組織が少ないため腫脹が高度になれば水疱形成や皮膚壊死など皮膚障害を生じる.
問診で聞くべきこと
外傷の有無,受傷の仕方,疼痛の部位,スポーツや歩行の頻度と競技レベル.
必要な検査とその所見
足部単純X線背底像,側面像,斜位像で診断する.Lisfranc関節部は単純X線に加えてCTや3D-CT検査を行うとより詳細に骨折の状態がわかる.疲労骨折の場合は2~3週後の再検査やMRIあるいは骨シンチグラムが有用である.
鑑別診断で想起すべき疾患
中足部に腫脹と疼痛をきたす鑑別すべき疾患として,Freiberg病,Morton病,中足趾節(metatarsophalangeal;MTP)関節炎,各種骨軟部腫瘍,蜂窩織炎,CPPD沈着症などが挙げられる.また小児の場合はIsline病などの各種骨端症を骨折と見誤らぬよう注意が必要である.
診断のポイント
腫脹,圧痛のある部位を単純X線にて確認すれば診断は比較的容易で
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