【疾患概念】
足部の腫瘍は原発性,転移性ともにまれである.足部ではすべての構造物が近接しているため腫瘍は早い時点で触知可能となり,痛みが出る.足部の悪性腫瘍は早期に発見されるため予後が良好である一方,まれであることから不適切な診断と治療がしばしば行われる.
診断のポイント
足部に発生する軟部腫瘤のほとんどはガングリオン,Morton病,滑液包炎,滑膜炎,感染などの良性病変であり,理学所見や画像所見は悪性腫瘍と同じようにみえる(図28-35図).各画像検査と必要に応じ生検で診断を確定するのは他の部位の腫瘍と同様である.
治療方針
各腫瘍の治療方針は5章参照.
【1】良性骨腫瘍
①骨巨細胞腫:踵骨と距骨,脛骨遠位に多い.足部の骨腫瘍では最も頻度が高いと報告されている.
②動脈瘤様骨嚢腫:中足骨と踵骨に多い.
③単純性骨嚢腫:踵骨に多い.
④軟骨芽細胞腫:踵骨と距骨に多い.
⑤内軟骨腫:中足骨と趾骨に多い.
⑥chondro-myxoid fibroma
⑦類骨骨腫:踵骨と距骨,脛骨遠位に多い.
⑧osteoblastoma:距骨に多い.
⑨線維性骨異形成
⑩非骨化性線維腫:脛骨遠位に多い.
⑪骨内脂肪腫:踵骨に多い.自然消退もあるため無症候の場合は経過観察のみである.しかし,疼痛や病的骨折のリスクが高い場合は掻爬と骨移植を行う.再発率は低い.
⑫爪下外骨腫:痛みや外見上の問題のため手術が必要となる.手術は足趾先端より横皮切を加え辺縁切除を行う.
⑬bizarre parosteal osteochondromatous proliferation(BPOP)(Nora's lesion):増大速度が速く痛みを伴う.治療は辺縁切除であるが再発率は比較的高い.
【2】良性軟部腫瘍
①腱鞘巨細胞腫:足部の軟部腫瘍では最も頻度が高いと報告されている.放置すると関節破壊が進行するため手術(辺縁切除)が基本である.距腿関節内