【疾患概念】
深横中足靱帯底側における趾間神経腫を伴う底側趾神経障害がMorton病とよばれる.Morton病における趾間神経腫は腫瘍性病変ではなく,刺激に伴う二次性変化と考えられている.
【好発年齢・好発部位】
中高年の女性に多く発症する.第3/4趾間に最も多く発生するが,それ以外の趾間部でも発生する.
【発生機序】
外的要因としてハイヒールなどの幅の狭く,中足趾節(metatarsophalangeal;MTP)関節を背屈させる靴を履くことが発症の原因となる.内的要因として外反母趾など足の変形に伴い,母趾以外の中足骨頭への負荷が増えると発症しやすくなる.
【臨床症状】
初期はMTP関節付近の歩行時の前足部痛として自覚する.慢性化すると,足趾のしびれや放散痛を自覚し,安静時痛を訴えることもある.
問診で聞いておくべきこと
発症から初診までの期間が短いほど保存療法が有効であるため,発症時期を正確に聞く.発症時期に幅の狭い新しい靴に換えていないかを聞く.歩行や立ち仕事の増加など,生活の変化がなかったか聞く.
必要な検査とその所見
(1)単純X線
荷重時足部正面像と側面像を撮影し,原因となりうる外反母趾などの足部アライメント異常を評価する.鑑別のためMTP関節の変形の有無を確認する.
(2)MRI
神経腫の有無を確認する.神経腫の確認のためには,足冠状断像はMTP関節周囲を中心になるべく細かく撮影する必要がある(図28-37図).MTP関節炎,趾間滑液包炎および腫瘍性病変の鑑別にも重要である.
鑑別診断で想起すべき疾患
深腓骨神経障害,脛骨神経障害や腰椎疾患など趾神経以外の神経障害がないか確認する.趾間滑液包炎,MTP関節炎はMorton病とよく似た症状を呈し,趾間神経の症状を合併することもある.また,趾間部に腫瘤がみられる場合は軟部腫瘍との鑑別も必要である.
診断のポイント
臨床所見としては,
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