診療支援
診断

バイタルサイン
Vital Signs
山村 仁
(大阪府立中河内救命救急センター・所長)

緊急処置

【1】バイタルサインに異常を認めた場合:気道・呼吸・循環・意識レベル・体温の確認と処置を行う。

【2】生命を脅かす危機が存在する場合:バイタルサインから「気道閉塞」「低酸素血症,換気不全」「致死的不整脈」「ショック」「意識障害」「高体温・低体温」などが考えられる場合,まずそれに対処することが重要となる。

診断のチェックポイント

【1】バイタルサイン:バイタルサインの評価は,患者の状態について重要な情報を提供するため,患者診察の最初に行うべきである。バイタルサインには,血圧,脈拍数,呼吸,体温,意識レベルが含まれる。この評価は1回のみ行うのではなく,連続的に行うことが重要である。初回の値に異常がなくても,その経時的な変化をみることで,患者の状態が改善しているか,増悪しているかを知ることができる。

❶血圧

血圧は,動脈壁の中を流れる血液が,壁を押し出す圧を示している。一般に,血液流量や血管抵抗が変化すると,血圧は上昇もしくは低下する。血管内腔が狭小化したときには,血管抵抗が増して血圧は上昇する。一方,血管内腔が拡張したときには,血管抵抗が減少して血圧は低下する。

通常の血圧測定は自動血圧計で測定されることが多いが,何らかの原因で測定できない場合には,マンシェットを用いた手動による血圧測定を行う。また,コロトコフ音が聞こえない場合には,触診法で測定する。

収縮期血圧140mmHg以上,または拡張期血圧90mmHg以上を高血圧,収縮期血圧100mmHg以下,または拡張期血圧60mmHg以下を低血圧と定義されている。

❷脈拍数

脈拍数の確認では,数とリズム,性状を評価する。特に救急病態が疑われる場合には,中枢(頸動脈)と末梢(橈骨動脈)の両者で行う。

脈拍数の異常を認めれば,心電図モニタリングが必要になる。脈拍数50回/分未満,100回/分以上は重篤な病態である。表1に頻脈(100回

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