診療支援
診断

皮膚色素異常
Pigmentary Disorders
鈴木 民夫
(山形大学教授・皮膚科学講座)

緊急処置

 眼皮膚白皮症に加えて,出生時より繰り返す肺炎などの免疫不全や出血傾向を伴う場合は,すみやかに専門医を受診し,確定診断をつけることが望ましい。

診断のチェックポイント

定義:皮膚の色調はメラニン,カロチン,ヘモグロビンの3種類の色素量によって決まる。カロチンの過剰摂取による柑皮症や貧血(ヘモグロビンの減少)による色白・白斑などの病的状態は存在するが,きわめて限定的であり,多くの疾患はメラニン量の過剰による色素沈着症,あるいは,メラニンの減少,欠損による色素脱失症に分類される。本項では,メラニン量の変動による色素異常症について述べる。

【1】病歴

❶先天性か後天性か。どのような先行病変が存在したか。

❷色素の減少・欠損,あるいは増加がいつからいつまで続いているのか。

❸現在も症状は拡大しているのか,つまり病勢の活動性があるのか。

❹同症の家族内発症はあるのか。

【2】身体所見

❶分布と形状:全身性,汎発性,序列性,集簇性,局所性,単発性のいずれであるか。形状については,地図状,分節性,網目状,葉状,円形,点状のいずれかをよく観察する。

❷色素脱失症により白斑を呈する場合:完全脱色素斑か,不完全脱色素斑か,さらに境界部や辺縁部に色素増強の有無について。

❸色素沈着症の場合:毛孔一致性か,びまん性か。

❹色素異常以外の病的所見の有無:過角化,苔癬化,紅斑,浸潤などについて。

【3】検査

❶皮膚生検:可能なら皮膚生検を施行し,表皮や真皮のメラニン量やメラノサイトの数の増減を確認する。

❷免疫不全,出血傾向,神経障害,血球減少症などの全身性合併症の存在が疑われる場合:血液検査,神経学的検査,骨髄検査,遺伝子検査などを行う。

❸色素脱失症の場合:ウッドランプ下で白斑の分布を確認する。

❹尋常性白斑の場合:他の自己免疫疾患の合併率が高いため,サイロイドテスト,ミクロゾームテストなどの甲状腺に対する自己抗体,糖尿

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