診療支援
診断

小児の生活習慣病
Lifestyle-related Diseases in Children
花木 啓一
(鳥取大学教授・保健学科)

診断のチェックポイント

定義:小児生活習慣病の定義と分類を表1に記す。

【1】病歴

❶肥満の病歴:小児生活習慣病を構成する疾病は,体脂肪の増加である肥満に伴って発症することが多いので,小児肥満の状況を適切に評価することが重要である。

急激な体重増加と肥満が,何歳頃から生じたか。

過食や偏食などの食習慣の偏りが,いつ頃から生じたか。

不活発な生活習慣など,運動習慣の偏りが,いつ頃から生じたか。

二次性(症候性)肥満の特徴的症状を伴っているか。

❷小児生活習慣病を構成する各病態の病歴

多飲,多尿,夜間尿(→糖尿病)。

急激な体重減少(→糖尿病)。

睡眠中にいびきや無呼吸(→閉塞性睡眠時無呼吸症候群)。

月経不順(→多囊胞性卵巣症候群)。

下肢の捻挫や外傷などの既往(→肥満に起因する運動器機能障害)。

肥満に起因する不登校・いじめ(→肥満に関連する心理社会的不適応)。

低出生体重児,高出生体重児での出生〔→Developmental Origins of Health and Disease(DOHaD)学説,巨大児との関連〕。

家族歴(糖尿病,脂質異常症,高血圧症,痛風など)の有無。

【2】身体所見

❶肥満に関する身体所見

肥満の程度の評価

1)肥満度:肥満度(%)=(実測体重-標準体重)×100/標準体重

   +20%≦肥満度<+30% 軽度肥満

   +30%≦肥満度<+50% 中等度肥満

   +50%≦肥満度     高度肥満

   (6歳以上の判定基準)

2)BMIパーセンタイル, BMI-SDS:身長が増加する時期にある小児では,BMIの一定値では肥満を定義できない。BMIが,各年齢層で,95パーセンタイル値以上を肥満とする,または,BMIが,各年齢層で,17歳のBMI 25相当のパーセンタイル値以上を肥満とする。

3)ウエスト周囲長(腹囲)の評価

・内臓脂肪量の指標としてウエスト周囲

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