緊急処置
性成熟(思春期)が早く,かつ頭蓋内圧亢進症状(頭痛,嘔気など)あるいは視野狭窄を伴う際には,脳腫瘍が疑われる。頭部MRIあるいはCTを撮影する。
診断のチェックポイント
●定義:性成熟(思春期)の異常は思春期発来が早い場合と思春期発来が遅い場合に大別される(表1図)。
【1】病歴
❶男児:陰毛,腋毛,髭,変声,成長曲線の作成,家族の思春期発来時期を確認する。
❷女児:乳房,陰毛,腋毛,初経,成長曲線の作成,家族の思春期発来時期を確認する。
【2】身体所見
❶男児:身長,体重,BMI,精巣の発育(容積3mL以上),陰茎成長,陰毛,腋毛,髭,喉ぼとけの有無。
❷女児:身長,体重,BMI,乳房の発育,陰毛,腋毛,小陰唇色素沈着の有無。
❸思春期発来が遅い場合のみ男児女児とも:嗅覚異常の有無。
【3】検査
❶血中基礎値黄体形成ホルモン(LH)および卵胞刺激ホルモン(FSH)
❷頭部MRI
❸ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)負荷試験
❹血中ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG;思春期発来の早い男児のみ)
❺血中テストステロン(男児のみ)あるいはエストラジオール(女児のみ)
❻骨年齢
❼卵巣および子宮MRI(女児のみ)
❽染色体(思春期発来の遅い男児女児とも)
❾嗅覚検査(思春期発来の遅い男児女児とも)
原因疾患と頻度
表2図参照。
重要疾患の鑑別のポイント
【1】思春期発来が早い男児
❶精巣腫大の有無:あればGnRH依存性,なければGnRH非依存性を示唆。
❷基礎値LHおよびFSH:高値であればGnRH依存性,低値であればGnRH非依存性を示唆。
❸頭部MRI:hCG産生脳腫瘍を鑑別。
【2】思春期発来が早い女児
❶思春期発来が早い家族歴:特発性思春期早発症を示唆。
❷乳房腫大と初経の時系列:乳房腫大が先であればGnRH依存性,初経が先であればGnRH非依存性を示唆。
❸基礎値LHおよびFSH:高値であればGnRH依存性,低値