緊急処置
【1】中等度(12~14mg/dL)以上の高カルシウム(Ca)血症では尿濃縮能低下,脱水がみられ,腎機能低下が進行すればCa濃度上昇との悪循環からCa crisis(クリーゼ)となる。
【2】意識障害や急性腎障害(acute kidney injury:AKI)の合併例では静脈確保,生理食塩液の大量点滴ともに,病態に応じて骨吸収抑制薬などを投与する。
【3】腎機能低下が高度に進行した例では血液透析も考慮する。
診断のチェックポイント
●定義:血清総Ca濃度は8.6~10.4mg/dLの狭い範囲に保たれている。血中Caはほぼ半分がアルブミン(Alb)と結合しているため,低Alb血症の際はみかけ上総Ca濃度が低下する。血清Alb濃度が4.0g/dL未満の場合には以下のようなCa補正式を用いる。
補正Ca(mg/dL)=実測Ca(mg/dL)+〔4.0-Alb(g/dL)〕
補正Ca濃度が10.5mg/dL以上を高Ca血症とする。
【1】病歴
❶薬剤服用歴:ビタミンD製剤,テリパラチド,サイアザイド,リチウムなど。
❷悪性腫瘍の既往歴〔→PTH関連蛋白(PTHrP)産生腫瘍,転移性骨腫瘍〕。
❸尿路結石,骨粗鬆症(骨折)の既往歴(→原発性副甲状腺機能亢進症)。
❹高Ca血症の家族歴〔→家族性低Ca尿性高Ca血症(familial hypocalciuric hypercalcemia:FHH),MEN〕。
【2】身体所見:高Ca血症の主要な症候を表1図に示した。これらの多くは非特異的で高Ca血症の診断や鑑別にはあまり役立たないが,症状の発現時期や変化は時に有用な情報となる。
❶高Ca血症に伴う症状:意識レベル低下,倦怠感,脱水,口渇,脱力,便秘など。
❷腰痛などの骨関連症状(→骨粗鬆症に伴う脆弱性骨折,転移性骨腫瘍)。
【3】検査
❶画像検査
■腹部エコー:尿路結石,腹部悪性腫瘍,膵炎などの有無。
■単
関連リンク
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- 臨床検査データブック 2023-2024/副甲状腺ホルモン関連蛋白インタクト〔PTHrP-intact〕《副甲状腺ホルモン関連蛋白〔PTHrP〕》 [保] 189点(包)
- 新臨床内科学 第10版/1 原発性副甲状腺機能亢進症
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