診療支援
診断

低カルシウム血症
Hypocalcemia
槙田 紀子
(東京大学准教授・腎臓・内分泌内科)

緊急処置

 意識障害,てんかん大発作,制御不能な不整脈を呈している場合,8.5%グルコン酸カルシウム(カルチコール)10~20mLを10~20分かけて緩徐に静注する(心電図モニターを装着)。引き続きカルチコール40~60mL/日を持続点滴する。

診断のチェックポイント

定義

❶血清カルシウム(Ca)が8.5mg/dL未満。

❷血清アルブミンが4.0g/dL未満:補正Ca(mg/dL)=測定Ca(mg/dL)+4-alb(g/dL)を用いる。

【1】病歴

❶慢性腎臓病の合併はないか(→腎不全に伴う低Ca血症)。

❷偏食,日光曝露不足はないか(→ビタミンD欠乏症)。

❸新生児期・乳児期の発症か(→先天性)。

❹低Ca血症をきたす薬剤の投与歴はないか(→骨吸収抑制薬,抗けいれん薬)。

❺アルコール多飲はあるか〔→低マグネシウム(Mg)血症〕。

【2】身体所見

❶原因を問わず,低Ca血症自体による共通の臨床症状(しびれ,テタニー,けいれん,徐脈など)をきたす。

❷慢性的な低Ca血症は無症候なことが多い。特に腎不全では代謝性アシドーシスの合併により症状が出にくい(相対的にイオン化Caが増える)。テタニーの誘発試験としてTrousseau徴候(図1),Chvostek徴候(顔面神経幹殴打による筋収縮)がある。

❸低Ca血症以外の症候の合併があるか:

低身長,肥満,円形顔貌,中手骨の短縮(→偽性副甲状腺機能低下症Ia)。

顔貌異常,心奇形(→DiGeorge症候群)。

【3】検査

❶血液検査(図2)

必須:血清リン(P)濃度(→低P血症だとビタミンD作用不全,Ca沈着,薬剤性。高P血症だとPTH作用不全,腎不全),血清Mg濃度〔→Mg<1.0mg/dLなら副甲状腺ホルモン(PTH)作用不全を疑う〕,血清クレアチニン(Cre),intact PTH(→<30pg/mLならPTH不足性副甲状腺機能低下症),25(OH)

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