診療支援
診断

高リン血症
Hyperphosphatemia
駒場 大峰
(東海大学准教授・腎内分泌代謝内科)

緊急処置

【1】急性,高度の高リン血症は,低カルシウム血症を伴い,しばしば致命的となる。十分な生理食塩液を投与し,尿中へのリン排泄を促すとともに,高リン尿症に伴う尿細管障害を防止する。

【2】治療抵抗例や腎不全に至った症例では,血液透析を検討する。

診断のチェックポイント

定義:血清リン濃度は通常,2.5~4.5mg/dLの範囲に維持されている。血清リン濃度が5mg/dLを超えた場合に高リン血症と診断する。

【1】病歴:慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)の既往,大腸内視鏡検査の実施,リン含有下剤の服用,悪性腫瘍の治療歴(→腫瘍崩壊症候群),外傷(→横紋筋融解症),糖尿病の既往(→ケトアシドーシス),頸部手術歴(→副甲状腺機能低下症)などを確認する。

【2】身体所見

❶高リン血症に特異的な症状はない。ただし,急性,高度の高リン血症は,細胞外液中にリン酸カルシウムを形成することにより,低カルシウム血症を引き起こす。この結果,テタニーなどの症状が出現する場合がある。また高リン尿症から急性リン酸腎症に至った場合は,腎機能悪化とともに,高リン血症,低カルシウム血症がさらに高度となる。

❷透析患者で慢性的に高リン血症のコントロールが不良な場合は,二次性副甲状腺機能亢進症や血管石灰化の要因となる(長期透析の合併症の項()を参照)。

【3】検査

❶腎機能(血清Cr濃度,推算GFR):高リン血症の原因として腎機能障害の有無を確認するため,また高リン尿症による急性リン酸腎症の評価のため評価する。

❷血清カルシウム濃度:高リン血症に伴う低カルシウム血症の有無を確認するため,また原因疾患の鑑別のため測定する。

❸総蛋白,免疫グロブリン,ビリルビン,コレステロール:偽性高リン血症の鑑別のため測定する。

❹尿中Cr濃度,尿中リン濃度:リン排泄率(FEP),尿細管リン最大再吸収閾値(TmP/G

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