診療支援
診断

睡眠障害(不眠症・過眠症)
Sleep Disorders (Insomnia and Hypersomnia)
内山 真
(日本大学教授・精神医学)

[Ⅰ]不眠(睡眠困難)

診断のチェックポイント

定義

❶不眠症とは,夜間に眠るために寝床で過ごしているにもかかわらず,夜間の睡眠困難があり,これにより日中に生活の質(quality of life:QOL)の低下がみられる状態である。

❷DSM-5では,夜間の睡眠困難としては,入眠困難,睡眠維持困難(中途覚醒),早朝覚醒,日中の苦痛や機能障害をもたらす状態が,1週間に3夜以上の頻度で,3か月以上続く症候群として定義される。

【1】病歴

❶夜間の睡眠困難を適切な診断に結びつけるには,「眠れない」という睡眠困難の訴えをより具体的に,症状として把握する。すなわち入眠困難,睡眠維持困難,早朝覚醒,休息感欠如について問診し,発症時期および頻度を具体的に確認する。

❷患者の睡眠習慣について,睡眠時間だけでなく,就床時刻や起床時刻を確認する。

❸精神的ストレスが契機となって,入眠困難や睡眠維持困難が生じ,次第に眠れな

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