診療支援
診断

視力障害
Visual Disturbance
木村 和博
(山口大学教授・眼科)

診断のチェックポイント

【1】病歴

❶どのように見えないのか:黒くなって見えない場合は網膜より中枢の疾患である可能性,ぼやけて見えない場合は中間透光体の疾患である可能性が高い。

全体が真っ黒で見えない(→網膜中心動脈閉塞症)。

中心が黒くて見えない(→視神経炎,中心性漿液性脈絡網膜症,加齢黄斑変性)。

端から黒くなってきている(→網膜剝離)。

ぼやけて見えづらい(→ぶどう膜炎,白内障)。

❷突然の発症か,緩徐な発症であるか:突然の発症である場合は,循環障害の可能性が高くかつ緊急性が高い場合が多い〔瞬間的に見えなくなった(→網膜中心動脈閉塞症,硝子体出血)〕。緩徐な発症である場合は緊急性が低い場合が多い。

❸両眼性か片眼性か:一般的に片眼性が多い。両眼性である場合は,視交叉より中枢の疾患やぶどう膜炎などの全身的な背景をもつ疾患であることが多い。

❹外傷歴はあるか。

受傷直後より視力低下(→角膜裂傷,眼球破裂,視神経管骨折)

受傷後より徐々に視力低下(→感染性角膜炎)

❺随伴症状はあるか。

眼脂(→感染性角膜炎,結膜炎)

眼痛(→急性緑内障発作,角膜異物,角膜炎,視神経炎)

発熱(→感染性眼内炎)

悪心,嘔吐(→急性緑内障発作)

❻全身疾患の既往はあるか。

高血圧(→網膜動静脈閉塞症)

糖尿病(→硝子体出血,網膜剝離)

アトピー(→白内障,網膜剝離)

❼コンタクトレンズ装用歴はあるか(→感染性角膜炎,角膜びらん,角膜異物)

【2】身体所見

❶RAPD(relative afferent pupillary defect)陽性かどうか(→視神経炎,視神経症):交互対光反射検査で瞳孔径の左右差を確認する。光刺激を加えているにもかかわらず散瞳する現象をRAPD陽性といい,視神経疾患を疑う。

❷結膜充血:拡張した血管が結膜円蓋部で最も強く,表層に分布している場合,結膜炎を疑う。拡張した血管が角膜輪部で最も強

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