診療支援
診断

毒蛇咬症
††
Venomous Snake Bite
中永 士師明
(秋田大学大学院教授・救急・集中治療医学)

診断のポイント

【1】咬創。

【2】出血毒による腫脹。

【3】横紋筋融解やコンパートメント症候群の併発。

【4】循環血液量減少性ショックから多臓器不全への危険性。

緊急対応の判断基準

【1】日本にはマムシ,ハブ,ヤマカガシの3種類の毒蛇が生息している。主成分は出血毒で神経毒も含有されている。ただし,ヤマカガシは血液凝固作用が強く,播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation:DIC)を引き起こす。

【2】軽症にみえても数時間は経過観察し,腫脹が進行する場合には入院させる。

【3】腫脹の進展度から重症度を判定する(表1)。受傷6時間以内に重症度Ⅲ以上の場合は抗毒素血清の投与を考慮する。

症候の診かた

【1】主たる病態:血管透過性亢進,出血傾向による疼痛,腫脹,皮下出血である。高度な腫脹が進行するとコンパートメント症候群や循環血液量減少性ショックをきたす可

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