診断のポイント
【1】進行性の頭痛や神経症状。
【2】成人以降に初発するてんかん発作。
【3】眼底所見:頭蓋内圧亢進によるうっ血乳頭や腫瘍の直接圧迫による視神経萎縮。
【4】年齢と病変の局在に注目する。
緊急対応の判断基準
急速に進行する神経症状や頭蓋内圧亢進症(頭痛,嘔吐,うっ血乳頭)は,生命の危機に直結するサインであるため,迅速かつ的確に診断し,専門医に紹介する。
【1】頭蓋内圧亢進が疑われた場合:頭部CT・MRIで確認後,高浸透圧利尿薬や副腎皮質ステロイドを投与し,頭蓋内圧を低下させる。
【2】髄液路の狭窄により閉塞性水頭症をきたしている場合:脳室ドレナージや腫瘍摘出術などの緊急手術が必要となる。
【3】悪性リンパ腫が疑われる場合:副腎皮質ステロイド投与が腫瘍を一時的に消失させることにより診断確定を妨げるおそれがあるため,可能な限り専門施設での腫瘍生検を優先する。
症候の診かた
【1】巣症状:腫瘍の局在部位に一致した神経症状を認める。
❶前頭葉腫瘍:先端部に近い片側性障害では症状は出にくいが,両側性の場合精神機能の低下,記憶障害,性格の変化などを呈する。中心溝近くでは対側の片麻痺,優位半球では運動性失語を呈する。
❷側頭葉腫瘍:優位半球で感覚性失語をきたす。視放線の障害で上四分盲を呈し,幻臭,精神運動発作などのてんかん発作も起こる。
❸頭頂葉腫瘍:中心溝近くでは対側の感覚障害をきたし,連合野が障害されると失認,失行,失書などをきたす。
❹後頭葉腫瘍:対側の同名半盲をきたす。
❺テント下腫瘍:小脳橋角部腫瘍において聴力の低下が多く,進行すると顔面神経麻痺,顔面の感覚低下や脳幹症状を呈する。
❻脳幹部腫瘍:眼球運動障害をきたすことが多く,各種の交代性片麻痺や下位脳神経障害による構音障害や嚥下障害をきたす。
❼第4脳室腫瘍:水頭症をきたしやすい。
❽小脳腫瘍:虫部に発生すると平衡障害が強く,半球では障害側の運
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