診断のポイント
神経梅毒は,臨床経過,神経学的所見ならびに髄液所見から総合的に診断する。米国疾病対策予防センター(CDC)による2015年のガイドラインでは,梅毒患者において以下のような場合に髄液検査を行うべきとしている。
【1】神経学的あるいは眼科的な異常所見を認める。
【2】大動脈炎やゴム腫などの活動性の第3期梅毒所見を認める。
【3】梅毒治療の失敗例。
症候の診かた
【1】潜伏梅毒あるいは第1~2期梅毒:これらの期間においても梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)が中枢神経系に進入すれば,焦燥感,不眠,食欲低下,易疲労感などを呈する。
【2】髄膜血管型神経梅毒:髄膜ならびに血管への感染が進行すれば髄膜血管型神経梅毒となる。
❶髄膜炎症状:頭痛,項部硬直,脳神経障害などを呈し,重症であれば嘔吐,けいれん,意識障害をきたす。
❷血管病変:脳血管の病態としては動脈の炎症と線維化をきたし,脳梗塞の症状を呈する。
【3】進行麻痺:梅毒の長期経過中に広範囲の脳実質病変に至った病型である。認知症,不随意運動,けいれん,四肢腱反射亢進と病的反射などを認める。また瞳孔異常として縮瞳,対光反射の消失,近見反射の保持を特徴とするArgyll Robertson瞳孔も認める。
【4】脊髄癆:梅毒の長期経過中に脊髄後索,後根および後根神経節の障害に及んだ病型である。下肢の腱反射消失,振動覚,位置覚ならびに温痛覚の低下がみられ,Romberg徴候陽性となる。また,高頻度に視神経萎縮とArgyll Robertson瞳孔を認める。
【5】てんかん重積や辺縁系脳炎症状を呈する神経梅毒:全身けいれんと意識障害が主症状となりうる。
検査所見とその読みかた
【1】脂質抗原試験:神経梅毒では多くの場合,髄液細胞数増多と蛋白上昇があり,髄液のvenereal disease research laboratory t
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