診療支援
診断

急性散在性脳脊髄炎
††
Acute Disseminated Encephalomyelitis(ADEM)
松井 真
(金沢医科大学教授・神経内科学)

診断のポイント

 小児における単相性ADEMの診断基準が国際的に定められており,成人にもおおむね適用できる。

【1】多巣性の炎症性脱髄によると推定される中枢神経症状の出現。

【2】発熱では説明のつかない脳症(意識障害や行動異常)を伴う。

【3】発症から3か月以内の急性期において,頭部MRI画像に異常所見が認められる。典型的な脳のMRI画像所見は以下のとおり。

❶主として大脳白質を侵す比較的大きく(>1~2cm),辺縁不明瞭な散在性病変。

❷T1強調画像において低信号を示す白質病変はまれである。

❸視床や基底核などの深部灰白質にも病変が存在する。

【4】発症から3か月を超えて,新規の臨床症状やMRI病変の出現がない(本項目は小児発症の多発性硬化症との鑑別に重要)。

緊急対応の判断基準

【1】数日以内に進行する意識障害や行動異常は脳炎を含めた脳実質病変を示唆するため,頭部MRIの撮像と腰椎穿刺により採取した髄液検

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?