診断のポイント
表1図に診断基準を示す。
【1】中・大動脈の巨細胞を伴う肉芽腫性血管炎。側頭動脈が好発部位であるため側頭動脈炎とよばれてきた。
【2】50歳以上の高齢者に発症。
【3】一側あるいは両側の側頭部の頭痛。
【4】側頭動脈を触知し,圧痛を伴う。
【5】血液生化学検査でCRP陽性,赤沈の亢進,白血球増多。
症候の診かた
【1】全身の炎症症状として全身倦怠感,微熱,体重減少,関節痛,筋痛などを認める。
【2】重要な合併症として眼動脈の虚血による失明があり,非可逆性であることが多い。視野障害,一過性黒内障や複視を認めることもある。
【3】約40%にリウマチ性多発筋痛症を認める。
【4】咀嚼時に咀嚼筋や側頭筋の運動による虚血症状としての疼痛を生じる顎跛行(jaw claudication)が認められる。
【5】多発性単神経炎を認めることがある。椎骨動脈系の脳梗塞を認めることもある。
検査所見とその読みかた
【1】血液生化学検査:CRPはほとんどの場合陽性。赤沈は多くの場合50mm/時以上の亢進。血清インターロイキン6(interleukin-6:IL-6)が増加。白血球増多症を認めることも多い。リウマチ因子や抗核抗体は陰性であることが多い。CPKやアルドラーゼといった筋原性酵素は正常である。
【2】眼底検査:視神経乳頭は浮腫状で,虚血性視神経炎の所見。網膜の綿花様白斑や小出血を認めることがある。
【3】超音波検査:側頭動脈の超音波検査で血管周囲のhalo(低エコー域)や不規則に肥厚した血管壁を認める。
【4】画像検査:鎖骨下動脈や腋窩動脈の狭窄を認めることがある。頭部造影MRIで頭蓋動脈の壁肥厚や造影効果を認めることがある。
【5】側頭動脈生検:内膜の肥厚,単核球の浸潤や肉芽腫形成,多核巨細胞を認める。
確定診断の決め手
【1】側頭動脈領域の圧痛や頭痛から本症を疑う。
【2】超音波検査,MRI,MRAなどの画
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