診療支援
診断

遺伝性ニューロパチー
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Hereditary Neuropathy
安東 由喜雄
(長崎国際大学学長/薬学部教授・アミロイドーシス病態解析学分野)

診断のポイント

【1】臨床症状

❶ニューロパチーを疑わせる遠位の腱反射の低下,筋萎縮,自律神経障害を含むさまざまなタイプのニューロパチー,および家族歴から本疾患を疑う。

❷遺伝性アミロイドニューロパチー:ニューロパチーに加えて,心臓,腎臓,消化管,自律神経障害,眼症状の有無が重要になる。

❸遺伝性圧脆弱性ニューロパチー:軽度の神経幹の圧迫や外傷がきっかけで起こるので病歴聴取が重要になる。

【2】検査

❶神経伝導検査:伝導速度,潜時,複合活動電位(compound muscle action potential:CMAP)や知覚神経活動電位(sensory nerve action potential:SNAP)などの項目をチェックし,脱髄型のニューロパチーか,軸索型のニューロパチーかの鑑別を行う。

❷アミロイド沈着のアミロイドニューロパチーにおいては,アミロイド沈着を何らかの組織(腓腹神経,腹壁脂肪,皮膚,口唇,消化管など)で確認する。

症候の診かた

【1】長さ依存性ニューロパチーのパターンをとるため,下肢から上行する,感覚,運動障害をチェックする。

【2】凹足(pes cavus),逆さシャンパンボトル様変形は典型的なCharcot-Marie-Tooth病(CMT)で認められる所見だが,運動神経が障害されるニューロパチーでもみられる。

【3】遺伝性アミロイドニューロパチーでは,解離性の感覚障害,臍周囲の感覚障害(特に温痛覚の低下)が認められる。

検査所見とその読みかた

【1】神経伝導検査で潜時の延長,伝導速度の遅延,CMAP,SNAPの低下を証明する。

【2】CMT:PMP22遺伝子変異を中心に遺伝子変異を検索する。

【3】遺伝性アミロイドニューロパチー

❶生検(腹壁脂肪吸引,胃・直腸,皮膚,口腔粘膜,腓腹神経など):アミロイド沈着を証明し,同部が抗TTR抗体で染色されることを確認することが重要である

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