診断のポイント
診断基準を表1図に示す。
【1】平均発症年齢は50歳台,10~80歳台までの発症を認める。
【2】進行性の多発ニューロパチー(脱髄性,下肢遠位優位)を呈する。
【3】浮腫は必発。胸水,腹水,心囊水を伴いうる。
【4】特徴的な皮膚症状(色素沈着,血管腫,剛毛など)を呈する。
【5】モノクローナルな形質細胞増多(M蛋白陽性など),血管内皮増殖因子(VEGF)高値を示す。
症候の診かた
【1】皮膚症状:ほぼ必発であり,色素沈着の頻度が最も高い。赤みがかった褐色の色素沈着であり,四肢・顔面に目立つ(図1図)。その他,血管腫も約70%に認め,四肢・体幹に多発する。
【2】浮腫:90%以上で両足に高度のpitting edemaが生じる。
【3】多発ニューロパチー:対称性の筋力低下,しびれ・痛みを呈する。症状は両足に始まり上行する。月単位の進行を示すことが多い。
検査所見とその読みかた
【1】血液検査:スクリーニング的にまず行う。
❶血小板:血算・生化学的検査で増多の有無を検索する。
❷M蛋白:微量なことが多いため,免疫電気泳動法ではしばしば検出できない。免疫固定法の実施を検討する。IgGまたはAのλ型であることが多い。
❸血清VEGF
■症候・各種検査により,POEMS症候群が疑われる際に測定する。
■外注検査会社への依頼により,約1~2週間で測定可能である。しかし,保険適用が現時点ではない。血清での測定を依頼する。
■1,000pg/mLを超えた場合,POEMS症候群の可能性が高まる。
【2】胸腹部CT
❶胸・腹・心囊水,肝脾腫,リンパ節腫脹の有無を検索する。
❷CTのwindow幅を骨条件に合わせると,骨病変(硬化性が一般的だが,溶骨性,混合性もありうる)のスクリーニングも可能である(図2図)。
【3】神経伝導検査:一側の上下肢で行う。
❶病理学的にはびまん性の脱髄性変化をきたす。そのため,伝導速度遅延が主
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