診療支援
診断

血管炎性ニューロパチー
Vasculitic Neuropathy
小池 春樹
(名古屋大学准教授・脳神経内科学)

診断のポイント

【1】多発性単ニューロパチー。

【2】急性ないし亜急性の進行。

【3】末梢神経伝導検査での軸索障害を示唆する所見。

【4】神経生検での軸索変性像。

【5】血管炎性ニューロパチーをきたしうる血管炎関連疾患は数多く存在することを念頭におく(表1)。

症候の診かた

【1】発熱:高度な炎症所見を伴う全身性血管炎では高頻度にみられるが,炎症の範囲が限局している非全身性血管炎性ニューロパチー(non-systemic vasculitic neuropathy:NSVN)などでははっきりしないこともある。

【2】皮疹:抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎などの全身性血管炎ではニューロパチーと合併して高頻度にみられ,生検にて血管炎が証明できる場合も多い。

【3】感覚障害:多発性単ニューロパチーの分布であることが多いが,一見多発ニューロパチーのような分布を呈する場合もある。痛みを訴えることが多い。

【4】運動障害:四肢遠位部優位の筋力低下・萎縮をきたす。感覚障害をきたさず運動障害のみを呈する場合は血管炎性ニューロパチー以外の疾患を考慮する必要がある。

検査所見とその診かた

【1】血液検査

❶顕微鏡的多発血管炎(microscopic polyangiitis:MPA),好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(eosinophilic granulomatosis with polyangiitis:EGPA),および多発血管炎性肉芽腫症(granulomatosis with polyangiitis:GPA)はANCA関連血管炎に分類されている。特にMPAとEGPAは血管炎性ニューロパチーをきたす頻度が高く,それぞれ60~70%,30~40%の頻度で血清中のミエロペルオキシダーゼ(MPO)に対するANCA(MPO-ANCA)が陽性となる。

❷全身性血管炎ではCRP値の上昇や赤沈の亢進などがみられる場合が

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