診断のポイント
【1】再発性の突発~急性四肢筋力低下。
【2】近位筋優位の脱力であるが,呼吸筋・構音・嚥下は保たれる。
【3】炭水化物の多量摂取後あるいは運動後の休憩後に続発することが多い。
【4】多くは常染色体顕性(優性)遺伝。
【5】多くは小児期後期~10歳台後半で初発。
症候の診かた
【1】筋力低下
❶近位筋優位・下肢優位であり,歩行困難,立位・坐位などの姿勢保持が困難となる。場合によっては,ベッド上寝たきり状態となることもある。
❷筋力低下は❶のように重篤であるが,呼吸筋・構音・顔面筋は保たれるため,いわゆる重症感には乏しい。
❸大量の炭水化物をとったり,運動をしたりした翌朝,目が覚めたときに筋力低下に気づくといった突発性から急性の発症が多い。
❹筋力低下は数時間~数日で改善する。
❺発作頻度は数週間~数か月が多いが,数日おき,場合によっては生涯で1回のみとバリエーションは大きい。
【2】神経学的異常:筋力低下以外には,深部腱反射の低下を認める程度で,意識・感覚などその他の異常は乏しい。
検査所見とその読みかた
【1】低カリウム性の場合:血清カリウム値の低下を認める。2.4mEq/L程度の低下が多いが,時には1.5mEq/L以下となることもある。ただ,2.0mEq/L以下の場合は,二次性の低カリウム血症の可能性を検討する必要がある。
【2】高カリウム性の場合:血清カリウム値の上昇を認める。
確定診断の決め手
特徴的な発作性再発性の筋力低下,家族歴,発作時の血清カリウム値異常がそろえば診断は困難ではない。
誤診しやすい疾患との鑑別ポイント
【1】急性の四肢筋力低下をきたす疾患はすべて鑑別を要する。すなわち,Guillain-Barré症候群(→),重症筋無力症(→),急性脊髄障害(炎症・腫瘍・血管障害など),低カリウム性ミオパチー,身体表現性障害などが重要である。
【2】呼吸筋麻痺・構音嚥下障害,感覚障害の
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