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診断

Parkinson症候群(進行性核上性麻痺・大脳皮質基底核変性症を含む)
Parkinson Syndrome〔including Progressive Supranuclear Palsy (PSP) and Corticobasal Degeneration (CBD)〕
望月 秀樹
(大阪大学大学院教授・神経内科学)

 Parkinson症候群は,Parkinson病以外でパーキンソニズムを呈する疾患を総称したもので,変性疾患や薬剤性,血管障害性などが含まれる。本項では,変性疾患である進行性核上性麻痺と大脳皮質基底核変性症について記載する。

[Ⅰ]進行性核上性麻痺(PSP)

診断のポイント

【1】緩徐進行性の経過。

【2】40歳以上での発症。

【3】垂直方向の眼球運動障害,または衝動性眼球運動の緩徐化。

【4】発症1年以内の転倒を伴う姿勢反射障害。

症候の診かた

【1】古典的に特徴的な所見(Richardson type)は歩行障害で発症し,バランスが悪く早期から転倒性が強い。垂直性眼球運動障害を伴う。

【2】このような典型例のほか,以下のような病型がある。

❶筋強剛が目立たず,すくみ足が主体のpure akinesia type。

❷初期にはParkinson病様の症状を呈しレボドパにも反応するが,のちにPSP症状が顕著になるPSP-Parkinsonism type。

❸小脳失調が目立ちしばしば多系統萎縮症との鑑別を要するPSP-cerebellar ataxia type。

検査所見とその読みかた

【1】頭部MRI:特徴的な中脳の萎縮(humming bird sign)を認める(図1)。

【2】ドパミントランスポーターシンチグラフィ(ダットスキャン®):中脳から線条体に投射するシナプス終末のドパミン受容体の発現低下がみられる(図2)。

確定診断の決め手

【1】PSPの確定診断は,死後脳を用いた剖検で以下の病理学的特徴を探索する必要がある。

❶中脳黒質,淡蒼球,Luys体,小脳歯状核などの神経細胞脱落,グリオーシス。

❷神経細胞やグリア細胞への異常リン酸化タウの蓄積。

【2】臨床的な確定診断については,これまで広く用いられてきたNINDS-SPSPの診断基準と,2017年に新しく作成されたMDS診断基準がある。

❶前者

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