診療支援
診断

Huntington病
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Huntington's Disease (HD)
森 まどか
(国立精神・神経医療研究センター病院脳神経内科)

診断のポイント

【1】特徴的な運動症状(舞踏病,ジストニアなど),精神症状,認知機能障害を呈する。

【2】常染色体優性遺伝形式の家族歴をもつ。

【3】確定診断は遺伝子診断(第4染色体短腕4p16.3のHTT遺伝子のCAGリピート異常伸長)。

緊急対応の判断基準

【1】進行期まで生命にかかわる緊急事態は生じない。

【2】進行すると嚥下障害や意識障害を生じることから,低栄養や誤嚥性肺炎に伴う全身状態不良となることがあり,対応が必要になる。

症候の診かた

【1】疫学と好発年齢

❶発症年齢は若年者から高齢まで重症度によりさまざまだが,30~40歳台が好発年齢である。

❷約10%は20歳以下で発症する若年型Huntington病(HD)で,特に知的障害が著しい。

【2】初発症状:功緻運動障害や性格変化など一見わかりにくい場合が多い。

【3】運動症状:多彩な不随意運動,特に顔面のチックや舞踏病,ジストニア,ミオクローヌスなどが多い。

【4】精神症状

❶怒りっぽさなどの性格変化,不機嫌やアパシー,易刺激性などを呈し,うつ状態や自殺企図も多い。

❷症状に対しては抗精神病薬を対症的に使用する。

【5】経過:進行すると高度の認知機能障害,嚥下障害などが出現し失外套状態に陥り,日常生活は全介助となる。

検査所見とその読みかた

 頭部MRIないしCT:特徴的な尾状核の萎縮を伴う側脳室の拡大を認める(図1)。

確定診断の決め手

【1】遺伝子検査:第4染色体短腕4p16.3のHTT遺伝子のCAGリピート異常伸長を認める。

❶CAG繰り返し配列数が40以上で疾患が発症するが,36以上で低浸透ながら発症する可能性がある。

❷世代が下がるにつれて繰り返し配列数は増加し,発症年齢が下がる表現促進現象(anticipation)がみられ,特に父親由来の場合著しい。

誤診しやすい疾患との鑑別ポイント

 鑑別診断として下記の疾患が挙げられる。

【1】歯状核赤核淡

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