診断のポイント
前兆のない片頭痛の診断基準を表1図,前兆のある片頭痛の診断基準を表2図に示す。
【1】女性に多い。
【2】好発年齢は20~40歳。
【3】拍動性の頭痛。
【4】光過敏・音過敏を示す。
【5】日常生活動作により増悪する。
症候の診かた
【1】「国際頭痛分類 第3版」において片頭痛は前兆のない片頭痛および前兆のある片頭痛などを含めた6つのサブタイプに分類される。
【2】日常の診療では,「前兆のない片頭痛」および「前兆のある片頭痛」を診察する機会が多い。
【3】「前兆のある片頭痛」では閃輝暗点などの視覚性前兆を伴う「典型的前兆のある片頭痛」が多い。
【4】片頭痛では予兆が始まり,前兆(前兆のある片頭痛のみ),頭痛と続く時間経過を示す。
❶予兆:頭痛の起こる前触れにあたるもの。片頭痛発作前の体調の変化であくび,疲労感および頸部のこりなどの非特異的な症状を呈する。
❷前兆:可逆性の脳局在性神経症状で視覚症状,感覚症状,言語症状および運動症状などがある。典型的前兆を伴う片頭痛では前兆として,視覚症状,感覚症状,言語症状を認める。前兆に伴うか前兆終了60分以内に頭痛が出現する。
❸頭痛
■持続時間:4~72時間。
■部位:片側のこめかみから眼周囲が多い。
■痛みかた:脈打つような「ズキズキ」する感じ。
■随伴症状:光や音過敏,悪心や嘔吐。
■その他:体動により頭痛は増悪する。
検査所見とその読みかた
その他の頭痛性疾患の可能性を除外するため神経学的診察や血液検査および頭部CTやMRIなどの画像検査が必要となる。これらの検査において異常のないことを確認する。
確定診断の決め手
【1】頭痛診療において医療面接が重要なポイントを占める。
【2】国際頭痛分類の片頭痛の診断基準を念頭に問診を進めることが重要である。
誤診しやすい疾患との鑑別ポイント
【1】一過性脳虚血発作(transient ischemic attack:TI