診断のポイント
「国際頭痛分類 第3版」による診断基準を表1図に示す。頭痛発作の頻度に応じて,稀発反復性,頻発反復性,慢性に分類されている。さらに,触診により頭蓋周囲の圧痛が増強するか否かで下位分類される。
【1】いままでに10回以上経験した原因のない頭痛。
【2】寝込むことはなく日常生活への影響も大きくない。
【3】動作によって増悪しない。
【4】悪心や嘔吐はなく,光・音過敏もないことが多い。
【5】頻度が増したり慢性化すると,受診動機となる。
症候の診かた
【1】緊張型頭痛では,一般身体所見や神経学的所見で異常所見はなく,もしあれば二次性頭痛の可能性を疑う。
【2】片頭痛を除外診断するために,問診が重要である。
【3】いわゆる“肩こり”は,緊張型頭痛の特異的所見ではなく,片頭痛患者でも高頻度で認めるため,診断の決め手にはならない。
検査所見とその読みかた
【1】異常所見を呈する特異的な検査はない。
【2】二次性頭痛を除外する目的で,血液・尿検査,脳波,頭部CT,頭部・頸部MRIなどが用いられる。
確定診断の決め手
【1】他の頭痛性疾患を除外。
【2】日常生活,階段昇降などの運動で増悪なし。
【3】入浴を避けることはせず,入浴後に軽快していると感じている患者が多い。
誤診しやすい疾患との鑑別ポイント
【1】慢性片頭痛(→)
❶頭痛ダイアリーなどを用いた鑑別診断が有用。
❷1人の患者に慢性片頭痛と慢性緊張型頭痛の各診断基準を満たす頭痛が併存していた場合には,慢性片頭痛の診断だけを与えるように決められている。
【2】薬剤の使用過多による頭痛〔薬物乱用頭痛(medication overuse headache:MOH)(→)〕
❶治療薬の使用過多のために,慢性緊張型頭痛とMOHの両診断基準を満たす頭痛を呈している場合には,慢性緊張型頭痛と,MOHの両者の診断名をつける。
❷使用過多の治療薬を中止後に診断の再評価を行う。
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