診断のポイント
【1】胃ポリープは,胃粘膜から発生する隆起した病変で,良性のものを指す。
【2】過形成性ポリープ(hyperplastic polyp),胃底腺ポリープ(fundic gland polyp)の2つで胃ポリープの大半を占める。
【3】組織学的には,過形成性ポリープは,腺窩上皮の延長,分岐,拡張などの過形成変化,胃底腺ポリープでは,胃底腺組織の過形成・囊胞状の拡張腺管からなる。
【4】両ポリープは,全く異なった胃の背景粘膜から発生し,異なる形態を示す。
【5】両ポリープともおのおの特徴的な内視鏡所見を呈し,多くは,内視鏡上の形態のみで病理検査を経ずに診断される。
症候の診かた
【1】胃ポリープの大部分は無症状で,スクリーニング目的に行われた上部内視鏡検査,胃X線検査で偶然発見される。
【2】少数例,特に抗血栓薬内服中の高齢者においては,過形成性ポリープからの慢性出血により貧血の原因となることがある。
【3】さらにまれであるが,胃幽門付近に発生する大きなポリープでは,嘔気・嘔吐などの消化管狭窄症状をきたすことがある。
検査所見とその読みかた
日常診療において,胃X線検査が行われる機会が減っており,現在,多くの胃ポリープは内視鏡で発見,診断されている。胃ポリープを内視鏡的に診断するにあたり,ポリープの数,形状(表面性状,茎の有無),色調,背景胃粘膜,発生部位に注目する。
【1】過形成性ポリープ
❶形状と色調:表面平滑な,強い発赤調を呈することが特徴で,茎の有無に関しては,いずれの形状もとりうるが,大きさが1cm以上のものでは通常,亜有茎性,有茎性を呈する。個数は,複数個認めることが多く,表面には白苔付着を認めることがある。
❷発生部位:胃内のいずれの部位にも発生しうるが,前庭部が多い(図1図,2図)。
【2】胃底腺ポリープ
❶形状と色調:表面平滑な無茎性の半球状で,色調は,周りの胃粘膜と同じ正