診療支援
診断

胃癌
Gastric Cancer
八尾 建史
(福岡大学筑紫病院内視鏡部・教授)

診断のポイント

【1】Helicobacter pylori(H. pylori)感染による慢性胃炎が重要な胃癌発症のリスクファクターとなる。

【2】X線造影検査や内視鏡検査の画像診断で胃癌を疑う病変を発見する。

【3】内視鏡により生検した標本の病理組織学的所見により確定診断する。

【4】発見されるきっかけ

❶対策型胃癌検診(X線造影検査・内視鏡検査)。

❷消化器症状の原因を検索する目的に行ったX線造影検査・内視鏡検査。

症候の診かた

【1】原則として,胃癌に特有の症状はない。

【2】早期胃癌:特有の症状がないので,本邦では,消化器症状(腹痛,胸やけなど)の原因を検索する目的に行った画像診断で,たまたま発見されることが多い。

【3】進行胃癌:体重減少,出血(吐血,下血,貧血),腹水,嘔吐,食欲不振などの症状を伴うことがある。

検査所見とその読みかた

【1】胃癌のリスクを診断する検査

H. pylori感染:血清・尿中抗H. pylori IgG抗体検査,尿素呼気テスト,便中H. pylori抗原検査,内視鏡的生検標本の病理組織学的検査,迅速ウレアーゼ試験(rapid urease test:RUT),内視鏡的生検標本の細菌培養法。

❷慢性萎縮性胃炎:血中ペプシノーゲン法。

❸ABC法:H. pylori感染の有無と血中ペプシノーゲン法の陽性・陰性により胃癌ハイリスク群の絞り込みを行う(表1)。

【2】胃癌の存在を診断する検査

❶従来は胃X線造影(図1)が盛んに行われたが,最近では胃内視鏡検査(図2)が施行されることが多い。

❷内視鏡検査で胃癌を疑う病変を発見したら生検を採取し,病理組織学的に確定診断を行う。

【3】胃癌の治療方針を決定する検査:胃癌の確定診断がついたあとは,胃癌のステージにより治療方針が異なるので以下の検査を行う。

❶胃壁深達度:色素内視鏡または超音波内視鏡(図3)。

❷胃癌の水平方向の範

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