診断のポイント
【1】病歴の詳細な聴取を行い,持続性または反復性の粘血便・血性下痢などがあるときに疑う。
【2】理学的所見,病歴(放射線照射歴,抗菌薬服用歴,海外渡航歴など),血液検査(血算,炎症所見など),細菌培養検査,寄生虫学的検査を行い,各種腸炎の鑑別を行う。
【3】下部消化管内視鏡検査を行い,原則として病変は直腸から連続し,全周性・びまん性の活動性の炎症粘膜を確認する。
【4】臨床症状,炎症範囲,検査所見により病型や病期,重症度を判定し治療を行う。
緊急対応の判断基準
【1】臨床的重症度(表1図)から劇症の有無を判断する。劇症例であれば専門施設において外科治療を行うか,もしくは外科バックアップのもと,外科治療の時機を逸しないように細心の注意を払いながら内科治療を行う。
【2】大量出血,大腸穿孔,中毒性巨大結腸症を認める例では緊急手術を要するため外科手術可能な専門施設へすみやかに紹介する。
症候の診かた
【1】粘血便,血便,下痢
❶月単位で反復性・持続性に症状があることが多く,急性発症,単回で数日間持続のことが多い感染性腸炎などとの鑑別を要する。
❷炎症の罹患範囲や程度により症状が変化する。
■直腸の炎症が主体の場合:便の表面に血液が付着し,便意促迫や便失禁,残便感やしぶり腹を認める。
■結腸へ広範囲の炎症がある場合:水分吸収能の低下や腸管の短縮,ハウストラの消失により便が軟化し粘血便となる。
【2】症状から臨床的重症度を判断する(表1図)。
【3】頻脈,発熱,貧血症状など:これらの全身症状がみられる場合,中等症~重症が示唆されることが多い。
検査所見とその読みかた
【1】血液・生化学的検査
❶急性期の臨床検査所見は白血球増多,貧血,血沈亢進,CRP上昇などの非特異的な炎症所見を認める。
❷慢性炎症の指標としては,血小板数の増加も病勢の指標になる。
❸潰瘍性大腸炎は炎症の主座が粘膜~粘膜下層のため,CRPな
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