診療支援
診断

過敏性腸症候群
Irritable Bowel Syndrome (IBS)
奥村 利勝
(旭川医科大学教授・内科学講座消化器・血液腫瘍制御内科学分野)

診断のポイント

【1】数か月以上,腹痛と便通異常(下痢または便秘)があり,生活の質が障害。排便によって軽快する腹痛である。

【2】器質的異常を疑う身体所見(発熱,血便)は認めない。

【3】通常の臨床検査,画像検査(下部消化管内視鏡検査など)で異常を認めない。

【4】不安や心理的ストレスで症状が増悪する。

【5】診断は症候に基づいた「Rome Ⅳ診断基準」(表1)がスタンダードであるが,各種検査での器質的疾患の除外と医療面接からの積極的なIBSの診断の両者を並行して行いたい。

症候の診かた

【1】下痢症状と便秘症状が主体であるものもあるが,いわゆる機能性下痢や機能性便秘との違いは腹痛を伴うか否かである。

【2】腹痛を伴う便通異常をとらえる。

【3】腹痛は急性腹症と誤るほど強いものから,自制内という程度のものまであるが,排便に伴って軽快することをとらえる。

【4】身体症状は不安,緊張,心理的ストレスにより増悪す

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